対合する臼歯の歯軸が全体的に傾斜すると、咬み合わせの高さが潰れるように経時的に低位になります。 このような低位咬合の持続する状態は顎関節症や咀嚼筋の筋筋膜痛の要因となります。 以下の症例は矯正により臼歯の歯軸を垂直方向に戻し、単独歯では安定しない歯列を犬歯と臼歯部を精密な部分被覆冠で連結させ、安定した咬合を維持して長期間が経過したものです。 犬歯はピンレッジ、前方臼歯は5分の4冠という上顎であるならメタル被覆が露出しない歯牙形成方法となっています。 単冠で製作されたクラウンを口腔内で位置を固定してから取り外し、鑞付け(金ろう使用)という精密作業で連結しています。 両側犬歯は対合下顎犬歯の先端のエナメル質を摩耗させない貴金属の誘導面を付与し、セラミックでは不可能な25年以上の理想的な接触関係を確保しています。